僕は高校の演劇部から演劇を始めた。演劇部に入部した理由は、当時芸人になろうと夢見ていたからで、少しでも舞台経験があれば芸人になったとき有利だろうと思ったからだ。芸人じゃなくて演劇を続けていこうと思った決め手は良い作品に出会ったから。それも一つだけじゃなくて四つある。
中でも、高校生時分、演劇をやっていこうと決定的にさせた作品。生で見たわけではなく、ビデオで見た作品なので今回のブログのテーマには不適当かもしれませんが、感銘を受けたのがこの作品なので続けて書きます。
その作品はリリパットアーミー第32回公演「白いメリーさん~人体模型の夜~」。父親が中島らもが好きだった影響で、僕もらもさんが
好きだった。単行本の「白いメリーさん」を読んでいたから、入りやすいかと梅田の紀伊国屋でビデオを買った。
妖しい雰囲気の作品で、引き込まれるように観ていた。作品全体でみてもとても面白かったのだけど、中でも一つの台詞に衝撃を受けた。
「死ぬのかね。死ねばいいんだよ。君が死んだからといって困る人間なぞどこにもいないんだよ」
当時の僕は何もかも面白いとは思えずにいたのだけど、この台詞を聞いてとても気持ちが楽になった。こういうことを言っても良いメディアがあるのかと思った。文章では読んだことがあったのだけど、人の口から発せられているのは初めて聞いた。
死にたかったら死ねばいいって言えるのなら、たぶん、どんなことを言ってもいいだろう。もちろん、物語があったり、面白く聞こえなければ駄目だろうけど、逆にいえばそれらさえあれば言ってもいいのだ。
演劇は、生々しい暗さでもって何かができると思って、それからのめり込んでいくことになった。