僕が3~6才児いわゆる幼稚園児だったころの話です。
皆で仲良く遠足へ出かけることがありました。遠足へは行き帰りどちらもバスで移動します。行き先は何かしら自然が豊富なところへ出かけたことまでは覚えておりますが、具体的にどんな催し物や行事を行ったか記憶にありません。
記憶に残っていないのは、大して面白くなかったからでしょう。なぜ面白く無かったか、曖昧な記憶を辿ると規制が厳しく遊びが限定され不自由だったから、な、気がします。何十人もいるおてんばな幼稚園児を数人の保母さん・先生でまとめ上げなければならないので、当然ですよね。
そんな面白く無かった幼稚園児の頃の遠足ですが、唯一記憶に残っているものがあります。
行き帰りのバス車内でのアニメです。移動時間、暇なんで子供向けのアニメを流すんですね。皆さんもそういった経験ある方、いらっしゃるのでは。
車内の中で流されていたものはたったの二種類でした。「アンパンマン」と「トムとジェリー」です。行きが「アンパンマン」で帰りが「トムとジェリー」の割合が多かった気がします。僕は「トムとジェリー」を見てゲラゲラ笑っていたのを覚えています。ただ、何が、どう面白かったか、作品の批評を今ここですることができるほどの記憶はございません。ただ曖昧に漠然と、「とても面白かった」という言葉が出てくるのみです。
しかし、過去の曖昧な経験は、現在において無意味であるとは限りません。
今この記事を書いている最中にふと思い立ち幼稚園時代のアルバムを発掘し、写真を見てみました。
すると、たぶん、トムの真似だろうか、いたずらっぽい変顔で写ってる写真の多いこと。(幼稚園児でカメラを向けられたら変な顔をするのはさほど少数派ではないかもしれませんが。)
僕は学生時代のお芝居では、顔に特に注意を払いました。芝居をしてる人にとって、表情に注意を払うことは当然ですが、僕は芝居を始める前から、トムとジェリーから人を楽しませるためには、表情を万化させることの大切さを学んでいたのだと思います。