スペースドラマ2016が終わって
昨年度は出場団体として、そして今年は協働プロデュース団体として、スペースドラマに参加させていただきました。
昨年度、劇団再復活2年目の年に優秀劇団に選出していただき、「劇団続けていいよ」と言っていただいた気がして、周りからも注目していただいているという感触もあり、ここしばらくの間は絶対にコケたらあかん!とみんなで気負いすぎてコケたり、立ち見の出る程のお客様の前で大コケしてアンケートにボロクソ書かれたり。そんな平均年齢24歳の若手集団です。
二月病の中川さんに「スペドラとってどう変わりましたか?」なんて最初のミーティングで聞かれましたが、せっかく選出して頂いたのに基本転倒しまくった1年間でした。謝罪。
劇団員は私を含めて、高校演劇に毛生えたレベルの奴ばっかりです。いや、それよりも酷いかもしれません。ですが、そのポンコツが、毎公演自分の出来る最大値に挑戦し続けてきました。今回の公演もまた同じく、全員がそれぞれの力量の最大値に挑戦し、今までにないぐらい叫んで暴れた公演でした。
世界観は伝わった。でも客演さんに比べて劇団員が下手だと、色んな方からご指摘を受けました。今回ご出演頂きました、達者な客演さんお三方がいらっしゃらなければ、到底成しえなかった公演です。感謝の念が尽きません。
でも一方で、総合力が長けていると言っていただくことも多くあります。
クロージングトークの時に、他劇団の先輩から「失礼なこと言うと、下手なのになんでこんなに面白いんだろうと思って」
と言って頂きました。下手なのは本当になんとかしないといけない最大のポイントですが、その一言がとても私には嬉しかったです。
1人1人で考えると、1にも満たないレベルですが、合わさったらたまに1➕1が5になったりする。そんなミラクルも起こったりします。
私は演出として未熟で、どうしたらいいかわからないこともしょっちゅうです。
でも一つだけ譲れないことがあって、劇団員をどう使うか、この作品の中で、彼らが出来る最大値はどこなのか、そしてどうやったら全体が噛み合うのか。
未熟な私の思考ではありますが、演出家として確固たる表現したいことがあってそこに役者を合わせていくという方法なのではなく、私の場合は、今のメンバーを考えて、そこでできる最大値を生み出したいという思考です。
脚本担当の中條の作品を私なりに最大限表現したい、でもそれ以前に私は劇団の座長として、チームとしての総合力を発揮したいという思いがあります。
考えが甘いのかもしれないし、作品を演出する人間としては向きでない思考なのかもしれません。
いい芝居を作りたい。ならば正直、オール客演さんをお呼びしてやる方がよっぽど時間かからないし達者だし、クオリティ高いものになると思います。
でも私は、劇団でいい芝居を作りたい。下手くそなこのメンバーといい芝居を作りたい。
「死ぬ気でやります」という後輩のために、受身が取れなくて、でもケンカシーンでは身体張って顔面から落ちる後輩のために、何故こんなに俺はダメなんだろうと急に泣き出す後輩のために、そして劇団のために私は芝居がしたいし続けたい。
客演さんの稽古合流が5月から、劇団員は2月からずっと稽古していたにもかかわらず、客演さんと比べて下手と書かれまくりました。それは彼らを上手く見せることが出来なかった、私の落ち度です。私自身も主演として、もっと求心力があれば、客演さんばかりということにはならなかったはずで。不甲斐ないことばかりです。
ただ私の中では、劇団が全てで、私が演劇やる意味なんかそんな小さなところにしかなくて、私は演劇が好きなわけでも、女優になりたいわけでも、演出として理想の作品を作りたいわけでもない。ただ劇団を何とかしたい。そんな甘い奴です私は。
でも見ていてほしいです。「前の公演よりも上手くなったやん劇団員」ってお客さんを思わせ続けるから、これから先何度公演が出来るかわからないけど、毎公演どこか一つでもマシにし続けるから、見ていてほしいです。(「未完成感が可愛い」と思って貰おうみたいなAKB商法感すごいですが)
私は無名劇団の劇団員として関西小劇場に残りたいから、これからも劇団員と一緒に高みを目指し続けたいと思います。
高校生の時から憧れていた、スペースドラマのトリを、自分の劇団で務めさせていただいて幸せでした。チャンスをくださってありがとうございました。
いい劇団を潰させたくないっていう気持ちから、優秀劇団選出制度が始まったと西島さんがおっしゃってました。
これからもコケたり、泣いたり、叩かれたり笑ったりしながら、スペドラに恩返しが出来るようになるその時まで、作品作りをみんなで頑張っていきたいと思います。
客演先の稽古終わりの飲み会でだいぶ酔っているテンションで恥ずかしいことを書きました。
無名劇団 島原夏海でした。